研究課題/領域番号 |
18204052
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平田 岳史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10251612)
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研究分担者 |
廣瀬 敬 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50270921)
榎森 啓元 秀明大学, 総合経営学部, 准教授 (30262257)
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キーワード | フェムト秒レーザー / ICP質量分析計 / 金属試料 / 鉱床試料 / 局所白金属元素分析 / 超高圧実験 / 元素分配 / 元素イメージング |
研究概要 |
本年度は、平成18年度に導入・立ち上げを行ったフェムト秒レーザーアブレーションシステムの質量分析計への結合と、基本的性能評価を行った。本研究で最終分析対象試料である金属質試料(主として鉄隕石)に対して、白金属元素、タングステン等の微量元素分析の定量分析を行なったところ、従来のレーザーアブレーション法と比較して、約5倍の元素検出感度と高い繰り返し再現性が得られ、本研究での実用分析に必要な分析性能が確認できた。ここで得られた結果は、「Analytical Science誌」に投稿、受理された(2008年3月号掲載)。さらに本年度は、従来のレーザーアブレーション法では分析が困難であった鉄鉱床試料に対しても試験分析を行った。その結果、鉄試料と同等の分析感度と分析空間分解能の向上が確認できた。安定したサンプリングが可能となったことから、鉄鉱床試料に対して鉄同位体分析を行ったところ、これまでのレーザーでは達成できなかった高い同位体分析精度が得られた。ここで得られた基礎的知見は、日本地球化学会、日本質量分析学会、レーザー学会等に発表し、高い評価を受けた。また、日本分析化学会学会誌「分析化学」誌にも論文投稿した。一方で本年度の実験結果から問題点も明らかとなった。現行の光学系では、レーザーの出力が大きすぎ、やや深さ方向の分析分解能が低くなることがわかった。実用的には問題ないが、より薄く微小な試料から正確な化学組成データを引き出す場合を想定し(特に太古代の微小鉱物や隕石中の微小インクルージョン)、レーザー光の集光系の変更を行った。レーザー集光系を、集光光学系から結合光学系へ移行したところ、レーザー照射径と掘削速度を独立に制御することが可能となり、分析条件の最適化が飛躍的に容易になった。また試料移動ステージも、従来のマニュアル操作からPCによる自動制御への移行し、長時間にわたる化学分析に対しても安定した分析性能が維持できるようになった。試料ステージをPC制御としたことで、将来的に元素存在度あるいは同位体比の二次元イメージングが可能なシステムが構築できた。分析性能の評価を行い、十分に実践的な性能が得られ、実際の地球化学試料への応用分析の準備が整った。
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