研究課題/領域番号 |
18204053
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 剛 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00236605)
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研究分担者 |
浅原 良浩 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (10281065)
谷水 雅治 名古屋大学, 海洋科学技術センター, 研究員 (20373459)
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キーワード | 希土類元素 / 同位体質量分別 / 放射壊変系 / 地球化学サイクル / サマリウム |
研究概要 |
実験:150Sm(99.93%)および154Sm(98.6%)、スパイクを用いて、150Sm-154Sm DSを作成した。同位体分析における誤差の軽減を考慮してスパイクの同位体組成は、150Sm/154Sm=0.27に調節した。 Johnson Matthey Sm oxide(99.99%)の同位体比を、上記のDSを用いて測定した。混合比の異なる3種類のサンプル-スパイク混合物を作成し、これらの混合物とサンプルについて同位体比測定をそれぞれ8回くり返した。分析試料は、Sm100ngを硝酸塩としてフィラメントに塗布した。同位体比測定は、表面電離型質量分析計VG SECTOR54を用い、7つのファラデイカップで7同位体を同時検出するstatic multi collection法にて行った。100ngのSmに対して、152Sm=1[V]のイオンビームが3-5時間持続した。 結果:本研究では、DS法に加え同位体比測定時にも質量分別補正を行うことで、同位体比分析の高精度化を達成した。質量分析計による同位体比測定時には、分析計内で質量分別が生じるため、測定結果は時間とともに系統的に変化する。高精度の測定結果を得るためには、測定中の質量分別の補正は不可欠である。本研究では、測定時に147Sm/154Sm比の測定中の平均値を使用した内部補正を導入した。この補正によって、測定された同位体比は(真の値から)任意の質量分別(α)を受けた値を示す。次に、DS法によって、質量分別を受けた測定値から、機器的な質量分別の補正された同位体比が求められる。 それぞれの混合物に対して、DS法解析には同じサンプルデータ(n=8)を使用した。測定の外部精度は、q=1.7、2.0、4.0に対してそれぞれ、0.05‰/a.m.u.、0.03‰/a.m.u.および0.03‰/a.m.u.(1SD)である。混合係数q=1.7の試料では測定の外部精度がやや悪いが、これは誤差伝播モデリングによって得られた誤差拡大率の傾向と調和的である。実際には、事前に試料のSm含有率を定量することで、試料-スパイク混合係数はコントロール可能である。 18年度の成果:本研究では、Double spike法用いてSm安定同位体比の測定法の開発を行った。質量分別補正を二段階、測定時の内部補正およびDouble spike法、とする事で高精度(±0.03‰/a.m.u.)の同位体比測定が可能となった。
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