研究課題/領域番号 |
18205001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内 薫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40182597)
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研究分担者 |
加藤 毅 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (10321986)
歸家 令果 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10401168)
沖野 友哉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40431895)
星名 賢之助 新潟薬科大学, 薬学部, 助教授 (60292827)
板倉 隆二 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (80334241)
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キーワード | 分子構造 / 化学反応動力学 / 超高速化学 / 強光子場化学 |
研究概要 |
平成18年度は「イオントラップ電子回折法の開発」と「強光子場を利用した超高速時間分解電子回折法の開発」を中心に研究をおこなった。 イオントラップ電子回折法の予備実験として、イオンをトラップしない条件でのバックグラウンド信号の強度を測定した。非散乱電子線が壁面に衝突することにより生じる反跳電子や二次電子の大部分は、独自に開発した電子ビームダンパーによって阻止され検出器まで到達しないことが確認された。その結果、バックグラウンド信号の大部分は真空チャンバー内の残留ガスに由来していることが分かった。バックグラウンド信号の主な原因となっている中性試料ガスの影響を軽減するために、イオントラップ電極を液体窒素で冷却し、そのクライオ効果によってトラップ内の残留ガス密度を抑制する方式を導入した。電極冷却装置を製作しその動作試験を実施した結果、トラップ電極は液体窒素温度まで冷却可能であり、電極を冷却してもトラップ条件に影響が無いことを確認した。また、散乱信号の大部分を占めるバックグラウンド信号からトラップされたイオンの微小な信号を識別する計測システムを確立した。イオントラップにイオンを捕捉した場合の回折像と残留ガスからの散乱信号を交互に自動測定し、その差分を取るにより、バックグラウンド信号の1%以下の微弱な信号も十分に識別できることが確認された。 強光子場を利用した超高速時間分解電子回折法の実験装置の設計と製作を実施した。装置は単色電子線源、散乱電子分析用トロイダル型電子エネルギー分析器、各種電子光学系、磁場遮蔽材、および、真空チャンバーで構成され、これら全ての設計と製作を完了した。また、単色電子線源、電子エネルギー分析器、各種電子光学系を駆動するための電源回路の設計と製作をおこなった。電源の動作確認と電圧・電流校正を実施し、製作した電源の性能が本実験の要求する仕様を十分に満たすことを確認した。
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