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2009 年度 実績報告書

時間分解熱力学の創生と蛋白質反応機構の解明への適用

研究課題

研究課題/領域番号 18205002
研究機関京都大学

研究代表者

寺嶋 正秀  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00188674)

キーワード熱力学 / 時間分解 / タンパク質 / 反応ダイナミクス / 過渡回折格子 / 反応中間体
研究概要

もし短時間にしか存在しない過渡的分子に対して、その熱力学的性質を明らかにすることができれば、科学全体に対してのブレークスルーになるであろう。ダイナミクスと熱力学から得られる情報を統合することによって、化学反応の理解はより深まるはずである。時間分解熱力学量測定法の完全創生とこの手法を用いた蛋白質反応機構の解明を目的とした新しい検出手法の開発を行い、本年度は以下のような成果を得た。
1.イオンポンプとして機能する代表的なタンパク質である、ハロロドプシンについて時間分解熱力学計測を行い、その中間状態のエネルギーや体積変化を決定することに成功した。その信号強度は、塩素イオンの存在を示し、その時間変化より、タンパク質内から塩素イオンが抜け出る速度と取り込まれる速度を決めることができた。このように、時間分解体積変化を用いることで、他の手法では観測することができない、光学的吸収のないイオンの空間的移動を見ることができるという新しい応用法を開発したと言える。
2.細菌の持つ青色光のセンサータンパク質であるTePixDと呼ばれる分子の機能に関する反応を検討し、光励起後の反応過程を明らかにした。これは吸収スペクトル検出などの他の光学的手法では全く観測できないダイナミクスであり、本開発手法の強力さを示すものとなった。
3.PYPと呼ばれる青色光センサータンパク質の反応中間体に対して、時間分解熱膨張係数測定を試み、成功した。これは歴史上、初めての時間分解測定である。現在、このデータをまとめ、報告する準備を整えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Reaction dynamics of halorhodopsin studied by time-resolved diffusion2009

    • 著者名/発表者名
      K.Inoue, et al.
    • 雑誌名

      Biophys. J. 96

      ページ: 3724-3734

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oligomeric State-Dependent Conformational Change of a BLUF Protein TePixD2009

    • 著者名/発表者名
      K.Tanaka, et al.
    • 雑誌名

      J. Mol. Biol. 386

      ページ: 1290-1300

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diffusion of gold ions and gold particles during photoreduction processes probed by the transient prating2009

    • 著者名/発表者名
      M.Harada, et al.
    • 雑誌名

      J.Collo. Inter.Sci. 332

      ページ: 373-381

    • 査読あり
  • [学会発表] 光回復酵素のDNA修復反応における酵素-基質間相互作用ダイナミクス2009

    • 著者名/発表者名
      近藤正人
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20090921-20090924
  • [図書] Water and Biomolecules, Physical Chemistry of Life Phenomena, Eds. K.Kuwajima, Y.Goto, F.Hirata, M.Kataoka, M.Terazima2009

    • 著者名/発表者名
      M.Terazima
    • 総ページ数
      23
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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