研究課題/領域番号 |
18205007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸部 義人 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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研究分担者 |
廣瀬 敬治 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (10252628)
田原 一邦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (40432463)
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キーワード | パイ電子系 / 二次元結晶 / キラリティ / デヒドロアヌレン / 走査型トンネル顕微鏡 / 自己集合 |
研究概要 |
本研究では、電気物性とキロプティカル物性を併せもつ新奇なパイ電子系の創出(課題1)と、固液界面における自己組織化の制御、すなわち二次元結晶工学を開拓すること(課題2)を目的として研究を行った。 (課題1)電気化学的に活性なねじれキラルパイ電子系の合成と物性 ヒドロキシ基のアセチレンへの付加を引き金とする三重結合の連続炭素-炭素結合形成により、ナフタレン誘導体が合成できることを見出すとともに、反応条件の最適化を行った。また、この環化反応を用いてねじれたペリレン誘導体を合成するための前駆体を合成した。ゼトレン誘導体の前駆体となるデヒドロナフト[10]アヌレンを合成し、NMRを用いてその安定性について調査した。3個のデヒドロ[14]アヌレン環が縮環したねじれパイ電子系の合成に成功し、そのねじれ構造についてX線構造解析により明らかにした。ラセミ化の速度が速いため母体化合物での光学分割はできなかったが、ラセミ化の速度を調べるためにジアステレオトピックな水素をもつ誘導体を導くための中間体を合成した。 (課題2)平面パイ電子系の固液界面における二次元結晶の形成と制御 三角形のデヒドロベンゾ[12]アヌレンを基本骨格とする化合物の固液(グラファイト-有機溶媒)界面における分子ネットワークについてSTMを用いて観測した。その結果、アルキル鎖長や溶媒が固液界面におけるネットワーク形成に著しい影響を与えることを見出し、その原因を考察した。また[18]アヌレン誘導体を用いることにより、デヒドロアヌレン核の大きさの効果についても検討し、コアサイズの違いによる二次元結晶構造制御の経験則を導いた。さらに、固液界面において形成されるナノスペースにおけるゲスト分子のサイズおよび形状選択的取り込みと、ゲスト分子により誘起される分子ネットワークの動的挙動をSTMを用いて観測することに成功した。
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