研究課題
本年度は以下の項目について検討を行った。1.粒子分離超音波場内でのイオン交換樹脂粒子の挙動が、粒子の密度よりむしろ圧縮率によって決定されることを明らかにし、これを利用してイオン交換樹脂対イオンの違いを超音波場内での粒子凝集座標から識別可能であることを示した。また、超音波チャンネルを用いて高分子粒子を分離可能であることを示した。また、電場スイッチングによって仮想的な電場を発生させ、粒子マニピュレーション、粒子分離のための新しい方法を考案した。既に分離チャンネルを用いる検討を行い、粒子挙動の解析を検討中である。2.氷を用いた分離新規分離概念として、氷を用いるアイスクロマトグラフィーを提唱し、物質分離が可能であること、温度によって保持機構が変わることなどを明らかにした。低温では氷表面との水素結合を解する吸着が主な保持機構であるのに対し、恒温では氷表面に混合水溶液薄層が成長し、これへの分配が主な保持機構になる。また、アイスクロマトグラフィーを利用することで薄層の厚さを定量的に評価できることを示した。3.高濃度高分子溶液でのイオンの溶媒和ポリエチレングリコールの高濃度水溶液は、非イオン性ミセル親水層のモデルであり、そこでのイオンの溶媒和はイオンの分離や界面、コロイド化学の立場から興味深い。液液界面移動ボルタンメトリー、電気泳動、X線吸収微細構造などを有効に併用することによって、非熱力学的仮定を用いずに単独イオンのミセル親水層での溶媒和を評価し、さらにその溶媒和構造を明らかにした。4.イオン性ミセル表面でのイオンの溶媒和構造X線吸収微細構造を用いて、イオン性ミセル表面に吸着したイオンの溶媒和構造を明らかにし、完全水和したイオンとイオン性ミセルを構成する界面活性剤に直接イオン会合したイオンが混在することを始めて実験的に明らかにした。この結果は、イオンの分離設計などに有用な情報となることが期待される。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (9件)
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