ロジウム触媒存在下、芳香族にトリルとヒドロシランを反応させたところ、炭素-シアノ結合の還元反応(脱シアノ化反応)が進行することがわかった。効率よく脱シアノ化体を得るには、かさ高いイソプロピルシランを用い、トリアルキルホスファイト配位子を添加することが重要である。高い官能基許容性を示し、またや立体障害(オルト2置換ベンゾニトリル誘導体)に対しても適用可能である。さらに、本反応の最も重要な特徴は、幅広いアルキルニトリルへと適用できる点である。特に、β水素を持つアルキルニトリルを用いた場合にも、炭素-シアノ結合切断の結果生成するアルキルーロジウム中間体が、β水素脱離を起こさずに、対応する還元体を効率よく与えるのは注目に値する。 ルテニウムカルボニル存在下、ピリジニルメチルアミン部を有する芳香族アミドのカルボニル化反応の開発に成功した。芳香族アミドから炭素-水素結合のオルト位選択的活性化を経る芳香族イミド合成で、二座配向基が炭素不活性結合の活性化に有効であることを示している。すでにわれわれが報告しているフェニルピリジンを基質にしたカルボニル化反応と異なり、エチレン共存下であるにもかかわらずエチレンは生成物に取り込まれない。しかし、エチレンを共存させないと反応は全く進行しないことから、エチレンは水素捕捉剤として働いているものと思われる。また、水の添加は必要である。水を添加しない場合、収率は25%と大きく減少する。官能基許容性は高く、メトキシ、ジメチルアミノ、アセトアミド、ケトン、エステル、クロロ、さらにはブロモ基があっても、反応は進行する。 ロジウム(II)触媒存在下、末端アセチレンにフェニル基を有するエンイン類を反応させると骨格再配列反応が進行し、アセチレンとオレフィン結合の両方が切断した生成物が選択的に得られた。
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