研究概要 |
硫黄資源の高度利用を目的とした硫黄の高付加価値化技術開発の基礎を築き、また新しい研究領域・分野をつくることを目的に、新規な硫黄含有物質の合成とそれらの特性評価を行った。その結果(1)原子屈折の大きな硫黄を含む新規高屈折率ポリマーの合成を進め、(i)9,9-スピロビフルオレン構造含有ポリチオエーテルの合成と屈折率、複屈折率、アッベ数の評価を行い、また(ii)9,9-スピロビフルオレン構造含有ポリスルホンの合成を行い、さらなる高屈折率化、低複屈折化を実現した。さらに(2)硫黄原子含有リサイクルポリマーの開発に着手した。すなわち、芳香族ジスルフィドの結合エネルギーは非常に弱く、光などの外部刺激によって開裂する性質に着目し、芳香族ジスルフィド化合物の動的な共有結合を利用したインターロック分子の形成反応(光、ラジカル、チオールースルフィド交換反応、熱などの刺激を利用した形成反応)を確立した。この系の架橋高分子への合成や、架橋高分子のリサイクル法への応用も検討しており、インターロック結合による、動的な架橋・解架橋(動的共有結合を用いた非共有結合架橋系)が可能なリサイクル特性に優れたポリマーを構築した。
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