研究課題/領域番号 |
18205015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中條 善樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (70144128)
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研究分担者 |
森崎 泰弘 京都大学, 工学研究科, 講師 (60332730)
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キーワード | 有機ホウ素高分子 / 共役系高分子 / 重付加 / ヒドロボレーション重合 / 蛍光発光 / 三次非線形光学材料 / 有機EL材料 / アニオンセンサー |
研究概要 |
本研究では、有機ホウ素の特性、すなわち高い反応性やルイス酸性を高分子設計に活かして、ホウ素原子を主鎖に組み込んだ新しい共役電子系の高分子を創成することを目的とした。具体的には、ジエチニルベンゼンなどの芳香族ジイン類とモノアルキルボランとのヒドロボレーション重合を行うことにより、主鎖部分にフェニレンやアルケニレンなどのπ共役系とともにホウ素原子が導入された高分子を得ることができた。このような高分子はホウ素原子の空軌道がπ共役系に関与した構造となっており、これまでの共役系高分子とは異なった新しい非局在電子系の高分子として、種々の特異な特性が期待できる。特に本年度は、これまでに合成した種々の構造のホウ素を主鎖に含む共役系高分子の特性及びその機能を評価した。まず、有機ホウ素ポリマーの分子量を正確に測定し、共役系ポリマーの分子量が、光学特性、電子特性に大きく影響しないことを明らかにした。さらに、高分子としての共役系がどの程度のびているかを見るために、既存の紫外可視分光光度計を使用した。また、得られた高分子の蛍光を測定した結果、強い青色の発光が観測された。得られた有機ホウ素共役系高分子の有機EL材料としての可能性について検討するために、基本的な発光特性の評価とともに、実際にデバイスを作成する必要がある。そこで本年度の研究では、成膜の条件検討を詳細に行った結果、キャスティングやスピンコーティングの手法により、容易に自立膜が作成できることが分かった。これらの結果をふまえて、今後はより合目的の構造を有すると考えられる有機ホウ素共役系高分子の合成にフィードバックすることが必要であると思われる。
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