研究課題
インターカレーション電極のエピタキシャル薄膜化に成功した。層状岩塩型構造を持つLiCoO_2をはじめとする遷移金属酸化物、スピネル型構造を持つマンガン酸化物、チタン酸化物、オリビン型構造を持つリン酸塩など、代表的な電極材料のSrTiO_3単結晶基板上へのエピタキシャル成長を試みた。その結果、大部分の電極で、膜成長方位を基板方位を制御することによって変化させることが可能になった。さらに成長方位と基板方位との問の詳しい相関関係の検討が必要であり、今後明らかにする予定である。エピタキシャル薄膜の成長が可能になったことから、次のステップとして表面状態の制御を試みた。膜成長条件、すなわち成長温度、酸素分圧、レーザーエネルギー、周波数などを制御することによって、表面状態は様々に変化する。表面粗さが1nm程度の平滑面を得るために、最適条件を明らかにした。合成したエピタキシャル薄膜電極を用いて、電気化学測定を行い、インターカレーション特性を調べた。さらに、エピタキシャル薄膜での表面電気化学反応を明らかにするために、放射光を用いた表面X線反射率測定を行い、電気化学反応時の表面状態の変化を観察した。LiCoO_2においては、作製時の薄膜表面には不純物が存在し、電解液に浸積した時点で不純物は溶解する。さらに電池作製後、電位変化を行うと電極表面に新たな薄層が出現する。この表面状態の変化は電極表面の結晶面に依存し、表面での電気化学反応性や化学反応性が結晶面によって異なることを明らかにした。さらに表面状態依存性など、これまでブラックボックスであったリチウム電池の電気化学反応について詳細な知見を得ることが可能になった。今後、結晶表面状態の変化を癌晶構造面から明らかにする予定である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Journal of Power Sources (掲載決定)