研究課題
1.InN系デバイスの実現には、InNとGaN、AlN及びそれらの混晶から成る急峻なヘテロ界面形成が必須である。そこで本年度はAlN/InN界面におけるInとAlのインターミキシングについて検討を行った。XRD測定の結果、GaN/InNヘテロ界面と同様に、AlN/InN界面においてもインターミキシングによるInAINの形成が確認され、AINの堆積温度が高くなるにしたがって、InAlNのIn組成が高In側ヘシフトすることがわかった。一方で、GaN/InNヘテロ界面の場合とは異なり、AlNの堆積温度がInNの成長温度より低い場合でもInNの分解が起こり、AlN堆積時のV/III比をよりAlリッチにすると、さらに低い堆積温度でもInNの分解が生じることが明らかとなった。2.InN系デバイスの実現に不可欠なp型ドーピングに関する検討として、LiAIO_2基板上へのMgドープM面InN結晶成長とその特性評価を行った。XRD測定の結果、Mgドーピングを行うことで、M面InN成長にC面InN成長が混在し、またMgドーピング量が増加するにつれて、C面InNの混在が増加する傾向にあることがわかった。ホール効果測定を用いた電気的特性評価の結果、C面InNで確認されたようなMgドーピングによるキャリアの補償効果が十分に得られなかった。このことは、Mgドーピングの影響によって、C面InNが混在することで結晶性が悪化し、残留の電子濃度が増加したことが原因ではないかと考えられる。3.InNの電子・光物性制御へ向けた基本検討として、InN上に堆積した各種金属のコンタクト抵抗に関する評価を行った。Al、Ti、Niを電子ビーム蒸着法によりInN上に堆積し、CTLM法を用いてノンアロイの状態でコンタクト抵抗を測定した。その結果、全ての金属において良好なオーミック特性を示した。また得られた固有接触抵抗値は、金属間の仕事関数の違いによらず、10^<-6>Ωcm^2台でほぼ同じ低い値を示した。以上の結果は、InN系デバイスに対するこれら金属材料のノンアロイ電極材料としての有用性を示すものである。
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