研究課題/領域番号 |
18206005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
財満 鎭明 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70158947)
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研究分担者 |
小川 正毅 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (10377773)
中塚 理 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20334998)
近藤 博基 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50345930)
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キーワード | ゲルマニウム / 表面・界面物理 / 走査トンネル顕微鏡 / 酸化現象 / 半導体工学 / 結晶工学 / 格子欠陥 / IV族半導体 |
研究概要 |
極微細MOSFETの高移動度伸張歪Geチャネル実現に向けた歪印加層(ストレッサー)や光電子デバイスに応用が期待される高品質・高Sn組成エピタキシャルGe_<1-x>Sn_x層の実現に向けて、Ge表面処理技術の開発、Ge上のSn吸着構造の解明、およびGe_<1-x>Sn_x原子層成長技術の確立を目標に研究を進めている。本年度は、Ge基板上におけるSnおよびGe_<1-x>Sn_xの初期成長を、主に走査トンネル顕微鏡を用いて詳細に観察し、さらに水素およびSiの添加によるGe_<1-x>Sn_x表面構造の制御の可能性を検証した。主な研究成果を以下に記す。 (1)超高真空中でGe清浄表面上に0.035MLのSnを室温にて蒸着し、250℃の熱処理を施したところ、Geダイマー列に垂直な方向に伸びる櫛歯上の表面構造が形成された。また、基板温度250℃で0.018〜0・035MLのSnを蒸着した場合も、同様の構造が観察された。Snの添加によって、Geダイマー列方向の圧縮歪が強められた結果、異方的なステップ構造が形成されるものと推測される。 (2)Ge清浄表面上に基板温度250℃において、Ge_<0.994>Sn_<0.006>層を3ML成長した場合、Geのホモエピタキシャル成長と比較して、小さなドメインサイズを持つ2次元島の多層多核成長が観察された。前述同様、Sn添加に起因した表面層内の歪の影響によるステップフロー成長の抑制が示唆された。 (3)水素分圧1.3×10^<-3>Paの雰囲気下において、クラッキングにより形成した原子状水素を曝露しながら、基板温度250℃でSnを0.018〜0.035ML成長した場合、櫛歯状の表面構造は形成されず、表面のステップ構造が維持され、表面平坦性に優れたGe_<1-x>Sn_x表面を形成できることが明らかになった。表面吸着水素によって、Geの表面泳動が抑制される結果、櫛歯状構造の形成を阻止できると考えられる。
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