研究課題/領域番号 |
18206006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
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研究分担者 |
時田 茂樹 京都大学, 化学研究所, 助教 (20456825)
橋田 昌樹 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50291034)
磯田 正二 京都大学, 化学研究所, 教授 (00168288)
倉田 博基 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50186491)
小川 哲也 京都大学, 化学研究所, 助教 (40224109)
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キーワード | レーザープラズマ電 / 高強度フェムト秒レーザー / 電子線回折 / パルス電子源 / 高輝度電子線源 |
研究概要 |
本研究は、次世代の時間分解電子回折解析法や電子顕微鏡に応用しうるパルス電子源を超高強度極短パルスレーザー生成プラズマ電子により物理的・原理的に実現できることを実証することが目的である。初年度(18年度)の研究ではレーザー生成電子の特性を調べたが、その結果、明らかになった問題点は現有のレーザーのエネルギーでは電子線量に限りがあるので、回折像取得の原理実証のためには複数パルスの電子源供給が必要となることである。また、単一電子パルスによる回折が可能の場合でも、線源の安定性(時間的、空間的)が極めて重要である。19年度はこのような課題に取り組むために、レーザーの安定化と電子源ターゲットの位置安定化の研究に取り組んだ。レーザーについては、前置増幅器と主増幅器のビーム構成を改良し、励起レーザーの両増幅器へのエネルギー配分比と主増幅器に適切な損失を加えることにより、パルス毎の出力が安定になることを見いだし、世界で初めてシステムに導入した(特許申請)。これにより、第1主増幅器後で0.3%rms、第2主増幅器後でも1%rmsの安定性の実現に成功した。ターゲット供給装置については、従来から薄膜を固定した回転板を回転することにより、パルス毎に新しい面を供給する方式を採用していたが、レーザープラズマ電子源の強度がパルス毎に変動していた。19年度は、集光点での膜位置のずれをレーザー位置センサーを用いて測定した結果、集光レーザーのレーリー長さの数倍になることが判明した。しかし、このずれは回転周期と同じ周期性をもつことが明らかになり、回転ターゲット供給装置の位置を回転周期と同期して補正することにより、レーリー長さの数分の1にまで位置精度を改善することができた。これらの成果を踏まえ、次年度は安定レーザーと安定ターゲット駆動装置を用い、初年度の電子発生実験を追試するとともに、電子パルス幅測定法を開発する。
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