昨年度に引き続き、シングルモードファイバの一部を数マイクロメートルまで延伸したテーパーファイバを作製し、エバネッセント場を介して微小球に光子がカップリングする系を構築した。100%に近いカップリング効率が得られることを明らかにし、高Q値の球形共振器の周囲に増強したエバネッセント場により、テーパーファイバに放射圧が作用して僅かながら変位する現象について解析した。この変位をプローブレーザー光でモニタすることにより、超高感度光強度計測、さらには単一光子検出(光子数計測)を実現する構想を練った。 開発したシステムを用いれば、光子を消滅させず何度でも検出することができるので、光子の時間・空間などマルチパラメータの計測が可能となる。この特長を活かして、最近注目を集めている単一分子の微弱発光の時空間特性を計測したり、細胞内の蛍光タンパクの動的挙動を高感度・高精度に解析する研究への応用について検討した。また、既に開発している光量子ゲートに非破壊光量子測定を組み合わせることにより、光量子情報処理システムの実現に向けて引き続き前進させている。さらに、新しい光量子情報デバイスのみならず、エコロジーも視野に入れた光計測・光情報処理テクノロジーへの応用を目指して基礎的研究に取り組んでいる。
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