研究概要 |
半導体デバイスやマクロセンサーなどのマイクロシステムは種々の材料から構成される多層薄膜構造体であることが特徴である.このような構造体においては,各層の機能の効果的な発現に加えて,構造体としての健全性を確保する必要がある.構造体の寸法の微細化とともに,界面の不均質な階層構造が無視できなくなる,あるいは,機能発現のために積極的に不均質構造化している場合が多く現れてきており,健全性評価の際に,原子レベル,分子構造レベルさらには高次構造レベルなどのミクロ階層構造を適切に考慮した力学的取り扱いが必要となっている.そこで,本研究では,多層薄膜構造体の機能として電気的および光学的特性をその代表として取り上げ,薄膜の機能・寿命特性を支配する表面・界面の力学場パラメータを明らかにすることを目的とする. 本年度は,界面における力学場が電気的特性へ及ぼす影響を明らかにするために,以下の研究を行った. 1.高分子基材上に成膜した導電性セラミックスの引張荷重下での損傷形態について,その場観察を行った.また,紫外線暴露施した試験片についても同様な実験を行い,紫外線暴露により,表面き裂の発生形態が変化することがわかった. 2.高分子基材と導電性セラミックスとの界面における機械的特性をナノインデンテーション試験により測定し,紫外線暴露により,高分子基材の剛性・弾性率が上昇することがわかった.そして,これにより,紫外線暴露を受けた試験片では,表面き裂形成のエネルギ解放率が低下し,き裂発生密度が低下することがわかった. 3.周期構造を持つピエゾ複合材料を走るSH波の支配方程式と境界条件を無次元化し,7つの物性地を4つの無次元パラメータで整理できることを示した.
|