研究概要 |
昨年度までの研究によりマイクロバブルを用いることにより,加熱増強がされることは確認されたが,それと同時にマイクロバブルの濃度を示すボイド率が高くなるにつれ加熱される領域が音源側に近づくため,本来目標としている焦点での加熱を実現できないことが分かった.そこで焦点付近のみにマイクロバブルを存在させる状況に近づけるため,音源側に存在するマイクロバブルを超音波で破壊してから,再度加熱用の超音波を照射する手法を考案した. 熱電対を用いて焦点付近の温度上昇を測定した.その結果,バブルを破壊用の超音波のパルス数を上げるにつれ,温度上昇も大きくなっていることが分かる.しかし,あるパルス以上の照射を行った場合,温度上昇は小さくなっている,これは焦点のバブルもほとんど消去してしまい,バブルによる加熱増強効果が得られなくなるためだと考えられる. HIFU治療において正確な加熱位置制御を可能にするためには,焦点位置自体を能動的に制御することも重要な技術である.そこで,複数の素子を有するピエゾを使用すれば,それぞれの素子から照射される超音波の位相をずらすことで,波の重なりを調節して焦点位置を制御することが可能である.今回は6チャネルの素子を持つ球面annular型のピエゾを使用し圧力分布の可変実験を行った.位相をずらすことで焦点の位置を制御できることが確認できた。焦点位置制御とバブル破壊による加熱領域制御の組み合わせにより,マイクロバブルを用いた正確なHIFU治療を実現できると考えられる.
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