研究課題/領域番号 |
18206030
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 研 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (70108471)
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研究分担者 |
小川 智之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50372305)
齊藤 伸 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50344700)
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キーワード | 磁性ナノ粒子 / 超常磁性 / 化学合成 / ドライプロセス / グラニュラ構造 / 自己組織化 / ナノ粒子超格子 / 高周波デバイス応用 |
研究概要 |
3d系遷移金属をナノ粒子化(スピンナノクラスター)し、誘電体中にスピンナノクラスターを分散させたスピンナノクラスター/誘電体複合材料を用いてGHz帯域に対応した低損失配線ボード基板材料を実現するためには、1.均一粒径スピンナノクラスターの合成技術の確立、2.スピンナノクラスターを凝集なく均一に誘電体中に分散し、3.結晶軸方位のばらつきを極力低減することが必須となる。本年度は、粒径制御されたFeスピンナノクラスターに対し、飽和磁化などの磁気物性評価および磁化率などの磁気特性評価を通して、誘電体(溶液あるいはポリマー)中の分散状態の検討を行った。 溶液中に希薄分散(体積分率0.00025%)した平均粒径9nm(粒径分散5-11%)のFeスピンナノクラスター集合体では、磁化率はブロッキング温度以上の温度に対し反比例の関係であることが分かった。これは、Feスピンナノクラスター間で働く静磁気的相互作用が無視できる程度に小さいことを示しており、Feスピンナノクラスター同士が凝集しないで磁気的に孤立した状態で誘電体中に均一分散していることを意味する。この指標を用いて、Feスピンナノクラスター分散濃度を系統的に変化させた場合の磁化率の温度依存性を詳細に調べた。その結果、分散濃度0.01%程度以上において、磁化率は温度に対し反比例の関係から大きく外れることが分かった。これは試料冷却時に生じる部分的ナノ粒子凝集により見かけ上のスピンナノクラスター体積が増大するなどの分散が生じたためと考えられる。 以上述べた磁化率を中心とした静磁気的評価手法が誘電体中のスピンナノクラスター分散状態を非破壊で評価を行う上で有効な手法であることを見出した。
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