研究概要 |
今年度は光線画像工学の基礎となる技術に関して幅広く研究を行ったが,特に,自由視点画像生成アルゴリズムの研究,光線空間でのシーン分離・合成方法の研究,光線情報取得法の高精度化の研究,芸術表現に適用可能な光線情報処理の研究,に関して重点的にすすめた.それぞれについて下記に示す. 【自由視点画像生成アルゴリズムの研究】 自由視点画像生成においては,計算時間の問題から視差マップの最適化処理が難しかった.今回は最適化手法として従来の動的計画法を拡張したマルチパスDPを新たに提案し,これを適用することによって,生成する自由視点画像の画質を大幅に改善し,計算時間が数桁多い従来の生成アルゴリズムの結果に匹敵する画像を得ることに成功した. また,2次元画像上での領域分割を用いた自由視点画像生成法を提案し、従来手法が不得意としていた物体の境界付近での画質の改善に成功した。 【光線空間でのシーン分離・合成方法の研究】 特定の奥行き付近にある物体を光線空間中から分離・抽出する手法と,複数の物体を光線空間内で合成する手法の提案を行った. 【光線情報取得法の高精度化の研究】 光線情報の取得手段として最も一般的なものは多数のカメラを用いる方法であるが,従来のカメラキャリブレーションを用いた方法では誤差の問題から光線情報取得の観点から適した画像を得ることは難しかった.今回マルチカメラシステムに特化したカメラキャリブレーション手法を提案し,取得される光線情報の精度を向上に成功した. 【芸術表現に適用可能な光線情報処理の研究】 光線空間を平面ではなく曲面で切り出すことで視覚的な特殊効果および芸術表現を加えた自由視点の画像を生成することを検討した。結果としては特殊効果が数式化されていれば、その数式に対応した曲面で光線空間を切り出すことで特殊効果の再現が可能であることが明らかになった。
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