研究概要 |
本研究課題では,コンクリート構造物の長期的な耐久性評価をなし得る暴露環境モニタリングシステムの構築を目指し,コンクリート構造物の近傍で気象情報観測が可能な装置により,コンクリートの耐久性に密接に関連する気象情報を取得して,各地域間で相互比較が可能なデータを整備することを第1の目的とした.なお,使用材料,配合,形状等を全て統一した共通コンクリート試験体による暴露実験は,2003年度より実施を開始しているので,気象情報とコンクリートの物性値との関係から,コンクリート構造物の長期耐久性評価を行なうことを第2の目的とした. 平成18年度においては,各地域相互でのデータ比較が可能な暴露環境モニタリングシステムを整備し,長期耐久性の評価実験を実施している供試体設置場所に気象観測装置を設置するとともに,環境条件の継続的な計測を実施し,集積データをAMeDASなどの既存の気象データと比較して,コンクリート構造物の局所的な環境条件と既存気象データとの関連性について検討を行う.また,これまでに実施してきたコンクリート共通供試体の暴露実験を継続し,所定期間を経過した供試体を回収して,耐久性に関する物性データを取得するための実験を実施した. コンクリート共通供試体の各暴露場所に,観測用センサ群を組み込んだ観測局を設置し,各地点の研究分担者らが拠点監視局を通じてデータを取得する.なお,観測項目はコンクリートの耐久性に密接に関連する温度,湿度,降雨量,コンクリート内部温度を基本とし,耐久性を検討する際に重要となる項目である降雨のpH,飛来塩分量,については,センサの開発も含めて,今後の課題としたい. 暴露環境モニタリングシステムの構築にあたっては,現在,独立行政法人土木研究所(茨城県つくば市,所内に2地点),独立行政法人港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀市),北海道大学,新潟大学,東北大学,琉球大学(合計7地点)において観測局,監視局を試験的に設置しており,本課題で申請する装置はこれらと同様のものである.なお,観測装置の設置については,上記の7地点を常設観測場所とするが,気象情報が1年ごとで極端に変化しないことを考慮し,本課題で申請する装置の個数は,各地方(中部,関西,中・四国,九州)で各1個,合計4個とし,1年間の観測した後に順次移設することで対応することとした.今年度は,岡山大学,九州大学,鹿児島大学に観測システムを設置し,現在,観測を継続中である.
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