研究概要 |
我が国の公共工事の契約システムにおける代金支払い方式を,国際標準の出来高部分払い方式(ProgressPayments)へ変更するために解決すべき問題点と具体的方法を明らかとするための調査研究を行った。 2007年9月に,スイス連邦共和国およびドイツ連邦共和国において公共工事に携わる公共発注者(3企業体),民間の建設会社(1社)およびスイス連邦工科大学,建設計画,施工研究科への訪問聞き取り調査を実施した。公共工事の設計,施工に関する代金支払い方式(契約制度)を質問事項の中核とし,総合評価方式による入札制度およびダンピングへの対応等について調査した。その結果,(1)スイスおよびドイツの公共工事は,前払金なしの出来高部分払い(進行支払い)方式であり,通常は1カ月間隔であること(2)前払金4割竣工時完成払金6割という日本の代金支払い方法は,資金調達の金融コストが割高となること,中小企業に不公平なやり方であること,建設会社の品質管理のインセンティブが低くなること等の理由で,よくない方法であると評価したこと(3)出来高部分払いの前提となる検査業務に携わる要員が公共発注者側に不足した場合は,民間企業から的確な技術者(エンジニア)を調達すること(4)民間企業から調達して検査業務を担当させる技術者の,中立性,公平性,公正性等について信頼していること,等が分かった。
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