研究課題/領域番号 |
18206056
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大垣 眞一郎 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (20005549)
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研究分担者 |
滝沢 智 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (10206914)
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (90251347)
片山 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (00302779)
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キーワード | ウイルス / 大腸菌 / PCR / 病原微生物 / 安全性 / 紫外線 / 光回復 / RNA |
研究概要 |
紫外線処理水中の微生物の、自然環境中における消長の把握は、実際の処理場への紫外線照射システムの適用を考える際不可欠である。紫外線処理した微生物の自然環境中における消長の把握を目的とし、紫外線照射により不活化した大腸菌の、NaCl溶液、MgCl_2溶液、CaCl_2溶液中における光回復の程度を調べた。その結果、2logの光回復(リン酸緩衝溶液)を基準とすると、全ての溶液中である濃度までは光回復したが、高濃度になると光回復が抑制された。光回復抑制の機構は、細胞膜内外における陽イオンの電位差が浸透圧を生み出し、光回復酵素の生成が阻害されたからだと考えられる。 水中ウイルスの測定においてPCR法を用いるが、その前段階の濃縮においては裸のRNAではなく完全なウイルス粒子を選択的に回収することが望ましい。ここでは4種類の1次濃縮法によるポリオウイルスRNAの回収率を測定し、外套蛋白に保護されていないウイルス核酸が濃縮法によって回収される可能性を明らかにした。また、ポリオウイルス粒子の回収率も測定し、RNAの回収率と比較した。酸洗浄法に陽イオンとしてMgイオンを用いた場合、MilliQ水、水道水、下水処理水および海水から高い粒子の回収率が得られた。 RNAの平均回収率に比べ、粒子の平均回収率は6.6〜14.9倍高かった。同様にAlイオンを用いた場合、RNAよりも粒子の方が高い回収率を示したが、平均回収率の差は1.4〜4.2倍と小さく、RNAが回収されやすい手法であった。これらのことより、ウイルス粒子の選択的な濃縮を行う手法としてMgを用いる方法が適していることが分かった。
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