研究課題/領域番号 |
18206056
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大垣 眞一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20005549)
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研究分担者 |
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (90251347)
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00302779)
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00361527)
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キーワード | 水の安全 / 病原微生物 / ウイルス / 遺伝子 / 指標微生物 |
研究概要 |
ノロウイルスは、下水処理場や浄化槽での処理を経た後も処理水中に一部が残存し、河川へ達すると考えられる。ヒトノロウイルスに汚染された河川水を水道水源として利用した場合、ヒトノロウイルスによる水道水の汚染と水道水の摂取によるヒトへの健康被害の発生が懸念される。 2003年にその存在が初めて報告されたマウスノロウイルスは、形態学的にも遺伝学的にもヒトノロウイルスに類似したウイルスであり、ノロウイルス属のGVに分類されている。そして、このマウスノロウイルスは、細胞培養により感染力の測定が可能であり、細胞培養が可能なウイルスの中でヒトノロウイルスに最も近縁なウイルスであることから新たな代替指標として急速に注目を集めている。 上水道の塩素消毒におけるマウスノロウイルスの感染力価と遺伝子数の消長を測定した。比較のため、塩素消毒実験で広く用いられているポリオウイルスと感染者糞便から精製したヒトノロウイルスを使用し、水道水中のヒトノロウイルスに対する塩素消毒の有効性を検証した。その結果、ノロウイルスの塩素消毒耐性は他の腸管系ウイルスと同等以下であり、十分な塩素消毒が施された配水システムにおいてはノロウイルスが感染力を保ったまま末端給水栓まで到達する可能性は低いことが示唆された。 また、エンベロープを持たない水系感染性のウイルスとしてコイヘルペスウイルスを対象として、水からの濃縮・検出法について調べた。その結果、ヒト腸管系ウイルスに比べて低い回収率(16±11%,n=8)ではあるものの、塩化アルミニウムを用いるウイルス濃縮法が優れていることを見出した。
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