研究概要 |
1. 高強度型HFRCCの材料性能の向上 より一層高い性能の得られた組み合わせを求めて, 混和材料や調合の微調整により実用化を目指して力学性能のみならず施工性も考慮して調合の改良を重ねた。具体的には, 従来のシリカフユームに代ってフライアッシュを混和材として用い, セメントの約30%分置換すると共に, 水-結合材比を従来の0.45から0.33に下げた調合とすることにより, 施工と水和熱の発生状況, 自己収縮ひずみ特性ならびに力学特性の変化について実験により確認した。 2. 柱ならびに壁の水平繰返し加力の荷重レベルと損傷度の関係 前年度までの検討結果を踏まえながら, 更にパラメータの幅を広げて水平加力実験を重ね, より有効な構造設計法を確立するためのデータを蓄積した。具体的には, 普通コンクリートとHFRCCを用いたRC柱と架構付RC耐震壁の水平加力実験を行い, 以下の結果を得た。HFRCCを用いた部材は, 材料自体に引張変形に対する靭性があるために, 材料の引張強度を用いて部材の変形能力を評価すると安全測の推定結果となること, せん断ひび割れや縦ひび割れを抑制し, かぶりコンクリートの剥落を防止するなどの損傷低減効果が確認できた。 3. HFRCCに埋設された鉄筋の腐食速度に及ぼすひび割れ曲状の影響に関する実験的検討 コンクリート構造物の耐久性向上に及ぼすHFRCCの影響を定量的に評価するために, 鉄筋の腐食速度低減へのHFRCCの有効性に関する実験的検討を継続して行った。その結果, 強制腐食試験開始25週目を過ぎると, 普通モルタルを用いた試験体では鉄筋に沿う方向にかぶり部分のひび割れが生じ, 急激にそのひび割れが進展すると共に腐食電流の増大が認められた。一方のHFRCCは, 50週目を過ぎてもゆっくりとした腐食電流の増大傾向は保持されたことから, 鉄筋の腐食抑制に対してHFRCCの有効性が確認された。
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