研究概要 |
電気自動車,ハイブリッドカーの運転駆動制御,風力発電制御に将来適用されると期待されている化合物半導体,炭化珪素(SiC),窒化ガリウム(GaN)の電極形成(インターコネクション形成)と,その周りの電気配線に適用される太線実装の基礎データを取ることに主眼を置いて研究した. SiCインターコネクション形成に関しては,金属電極間とのショットキーバリヤをなくしオーミックコンタクトを形成させるための必要条件として,τ1(Ti3SiC2))相の均一な層生成が必要であるとの認識の基に,その形成過程(挙動)は,熱処理温度,成膜組成等によって影響を受けることが考えられる,熱処理条件等を示差熱分析の実施により,TiAl3相形成した後,τ1相を生成させる工程を選択する手法を提案し,反応拡散パスをコントロールすることの可能性を示すことができた.その結果,τ1相生成促進が可能であることを明らかにした.また,τ1相はAl元素をTiとともに蒸着すると,均一形成しやすくなる傾向があるが,熱処理条件を変えれば,Al無添加でも形成可能であることも突き止めた.SiCとの反応拡散よるτ1相均質生成には,反応拡散パスのコントロールが本質的に重要であることが分かった.これらの根拠は,透過電子顕微鏡(TEM)観察と回折パターンから得ることができた. GaNインターコネクションに関しては,Ni薄膜及びTi/Al/Au薄膜との高温反応拡散過程を調査した.NiはNと反応しないが,状態図的検討から,数種のNixGay金属間化合物を反応拡散により形成することが示唆されるので,界面反応過程をTEM観察した.界面には反応物質らしきものが観察されたが,まだ同定するところまでは至っていない.GaNとTi/Al/Au薄膜との界面反応では,Ti-Au金属間化合物の他にTiN相と思われる薄い層が形成されている事が示唆された.しかし,その相は非常に薄く,完全に同定出来ていない.今度,反応拡散を促進させ,もう少し厚い膜を形成させて詳細にその反応拡散過程を調査していく予定である. 配線接合実装に関しては,まず,超音波接合装置を設計試作発注を行った.軟質Al太線の超音波接合を実施した.凝着過程の詳細なデータが必要なので,シリカ基板に直接アルミ線を超音波接合を行い,スリップアンドフォールディング機構による凝着過程の様子をその場観察することに成功した.
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