研究概要 |
ハイブリッドカーの駆動制御,風力発電制御に将来適用されると期待されている化合物半導体,炭化珪素(Sic),窒化ガリウム(GaN)の電極形成(インターコネクション形成)と,その周りの電気配線に適用される太線(アルミ太線ワイヤー及び銅リード)実装の機構解析を行った. SiCインターコネクション形成に関しては,ショットキーバリヤを低下させオーミック特性を発現させる,τ_1(Ti_3SiC_2)相の均一な層生成界面反応メカニズムを解析した.示差熱分析を実施し,界面反応が生じる温度域を明確化し,熱処理温度,成膜組成を制御した.すなわち,TiAl3相形成した後,τ_1相を生成させる工程を選択する手法を提案し,反応拡散パスをコントロールする方法を提案し,τ_1相生成促進が可能であることを明らかにした.τ_1相はAl元素をTiとともに蒸着すると,均一形成しやすくなる事も明らかにした.SiCとの反応拡散よるτ_1相均質生成には,反応拡散パスのコントロールが本質的に重要であり,これらの証拠は,透過電子顕微鏡(TEM)観察と回折パターンから得ることができた.一方,Al無添加で,Ti,Si,Cの各種組成の単一層をSiCデバイス上に直接蒸着し,SiCとの反応なしでτ_1相を形成する方法に取り組んだ.蒸着した直後はアモルファス膜となっているが973Kで真空焼鈍すると,結晶化が生じることが判明した.しかしながら,TiC相,TiSi_2相のみの析出が生じ,τ_1相は形成しないことが判明した.したがって,第4元素ないしは高温熱処理が今後必要であると考えられる. GaNインターコネクションに関しては,Ga面,N面へのTi蒸着では,拡散反応に違いがあることを発見した.また,NiはNとは反応しないが,数種のNi_xGa_y金属間化合物を反応拡散により形成することが示唆されるので,ボイドが界面反応過程で生じる事をTEM観察により明らかにした. 配線接合実装に関しては,軟質Al太線の超音波接合を実施し,その密着凝着機構(slipping and Folding Mechanism)を,その場観察により実証し,摩擦すべりを起こす接合中央部では,界面が縮むことを突き止めた.
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