昨年度は高周波磁場間欠印加装置納入から立ち上げ及び実験に向けた数値シミュレーション、装置の構築に注力した。具体的には、装置の試運転を行い、動作確認や装置によって発生する電流値や、電流波形などの計測を行った。装置の電流条件の計測では、想定されていた電流値と比較してより大きな電流値が得られる事を確認した。その計測によって得られたデータを元に数値シミュレーションを行った結果、一昨年度の数値シミュレーションから得られた電磁力の約3倍程度の電磁力を発生できる事が確認された。しかし、その電磁力も2004年に海外研究協力者であるボヤレビッチ博士に依頼した数値シミュレーションに用いられた電磁力と比較して、102オーダーほど小さい結果となった。そのため再度実験装置に関する数値シミュレーションを依頼し、今後の研究の方針や流体制御に関して検討するため、ボヤレビッチ博士を招きディスカッションを行った。ディスカッションでは液ジェットの分断や実験条件などに関して多くのアドバイスを受けた。また、電流条件や装置の設計図など実験装置に関する資料を渡し数値シミュレーションを依頼した。依頼した数値シミュレーションの結果、低速ジェットについて、現行の実験装置の電流値で十分に液ジェットを分断できる可能性が示唆された。その後、溶融Gaを用いたモデル実験のためのジェット噴出機構の構築や高速度カメラによる撮影準備を行い、高周波磁場印加装置を用いた実験準備を完了した。 また、溶融Si実験に向けてSiの溶融条件や溶融に用いる炉を検討するため、炉メーカーに実験を依頼して昇温時間が短く炉のサイズの小さいIRイメージ炉を用いたSiの溶融実験を行った。実験の結果、IRイメージ炉を用いる事で、短時間でSiを溶融できる事や、溶融時に石英坩堝にひびが入ってしまうと行った問題点を確認できた。Siの溶融に関しては今後更なる検討が必要である。
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