平成20年度は低融点金属(ガリウム)を用いた試験を行った。本年度の実験から、溶融ガリウムは極めて酸化されやすくジェット界面に酸化皮膜が形成されることが判明した。この酸化皮膜によって溶融ガリウムの表面張力やジェット分断の様子が著しく影響を受けるために、酸化を防止するために不活性ガスのチャンバーを装置に取り付け、実験を行った。その結果、不活性ガス雰囲気中において単発のパスル電磁力を印加することによってジェットを分断できることが明らかにされた。 続いて間欠磁場印加実験を行った。間欠磁場の印加周波数を変化させ、ジェットを連続的に液滴に分断させた。その結果、以下の実験結果が得られた。1.電磁力無印加の場合、ジェットは基本的に優先擾乱波長で分断するが、周囲の変動を受けやすく、正確に同じサイズの液滴を得ることは困難であった。2.優先擾乱波長よりも長い周期で間欠磁場を印加した場合、ジェットは印加電磁力とほぼ等しい周期で分断されるが、ジェット分断の際のネック部分が長くなるため、小さなサテライト滴が周期的に発生してしまった。3.優先擾乱波長と等しい周期で間欠磁場を印加した場合、ジェットは等しいサイズの液滴に分断された。4.優先擾乱波長よりも短い周期で間欠磁場を印加した場合、ジェットは印加電磁力とほぼ等しい周期で分断されるが、液滴間の距離が短いために、液滴同士の合体が容易に発生し、単分散の液滴を得ることができなかった。 以上より、単分散の液滴を得るためには、ジェットの優先擾乱波長と等しい間隔で電磁力を印加することが必要であることが明らかにされた。 さらにジェットを効果的に分断するためのコンセントレータ形状の最適化、数値計算によるジェット分断のシミュレーション等を行い、高融点金属系に移行する際の予測ツールを構築した。
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