本研究の目的は、気相および液相合成法により合成された大きさの揃った各種ナノ粒子を用いて、機能性ナノファイバー創製プロセスを構築することである。粒子径の揃った結晶性の高い各種ナノ粒子は、下記に示す方法で合成し、ファイバー化を検討する。 (1) 噴霧火炎法を中心に、気相および液相合成法により、Au、Agなどの金属、SiO_2、 TiO_2、(YAG : Ce)、Y_2O_3 : Eu などの酸化物やGaN、BNなどの非酸化物で、これらの機能性のナノ粒子を合成法・合成条件の適切な選択のもとで合成する。 (2) 製造されたナノ粒子を、30μm以下の超微細媒体が利用可能な新規媒体撹拌型ビーズミルにより、モノマー溶液もしくは溶剤中に分散させ、ナノ粒子高分散化スラリー溶液を調製する。 (3) ナノ粒子が均一に分散した溶液を用いる静電紡糸プロセスでは、ナノ粒子スラリーを帯電した微細ノズルに送り、ファイバー化と同時に重合させる静電紡糸法についての技術開発を行い、ナノ粒子が分散したPAN(ポリアクリロニトリル)、PVA(ポリビニルアルコール)などのポリマーコンポジットナノファイバーを製造する。同時に、ナノ粒子を添加せずに目的粒子が生成する原料溶液をモノマー中に加え、これを静電紡糸し、ナノ粒子をin-situで合成するナノファイバーの製造についても検討する。 (4) 製造されたナノファイバーの特性を制御することでフィルターを作製し、空気浄化用フィルターとしての適応性および白色LED用蛍光ナノコンポジット材料への応用について検討する。 (5) 静電紡糸法によりファイバーの生成が可能である原料溶液の物性や、静電紡糸の操作条件、合成されたファイバーの帯電特性、同時に発生するイオンやその他の特性について測定し、ナノ粒子を添加しない場合の特性と比較検討する。
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