研究課題
本研究は、現行の数値流体力学(CFD)が持つ問題点の一つである物理モデル依存性と計算格子依存性を解決するために、高密度な格子を用いた流体数値計算法の開発を目的としている。その具体的なアプローチとして、高密度直交格子を用いる方法と非構造格子で局所高密度化する方法の二つを採用している。代表者が提案したBuilding-Cube Methodでは、計算領域をブロック化して個々のブロック内で高密度な等方直交格子を用いている。大規模計算での計算時間短縮にはOpenMPを用いた並列ソルバーを開発し、そのことで高い並列性能を出すことを確認した。また、この方法を翼型周りの流れに適用して計算効率や計算精度についての検討を進めた。低レイノルズ数での翼型周りの流れの直接計算では、翼上面での剥離に伴う渦の生成、その渦の後縁での干渉過程での音波発生、さらにその音波が上流の剥離せん断層に干渉して渦を周期的に生成するフィードバック過程が後縁ノイズの発生メカニズムであることを明らかにした。その結果の実証には風洞実験等が必要であるが、高密度・高精細数値計算の可能性と重要性を示す研究成果であると考える。また、高レイノルズ数での翼型の3次元計算では、前縁での遷移を高密度数値計算で捕らえられることを示した。既開発の非構造格子を用いたCFD手法にも局所的に格子密度を高める格子細分化を開発し、航空機の着陸時の形態での大規模計算を実施して精度確認と流れの理解を進めた。また、数値計算での格子依存性を除去して定量的予測性能を高めるための抵抗分解法を開発し、その精度を確認するとともにウイングレットの最適設計に応用して工学的有用性を示した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
4th Int. Conf. on Computational Fluid Dynamics (to appear in Springer)(掲載決定)
AIAA Journal Vol.45,No.1
ページ: 162-167
Proc. of 25th Cong. of the Int. Council of the Aeronautical Sciences, ICAS 2006-2
ページ: 3-8
AIAA Journal Vol.44,No.7
ページ: 1617-1623
Journal of Aircraft 2006 Vol.43 No.6
ページ: 1838-1844
Journal of Aircraft 2006 Vol.43 No.5
ページ: 1317-1324
