研究概要 |
FRP廃船から取得したFRP破材を粉体化するため、FRP破材粉体化処理装置を製作した。本装置は、30mm以下に破砕したFRPを3mm下、5mm下、及び10mm以下の粉体に粉砕することが可能である。また、塩素濃度を低減するため、水中処理によりウレタンフォームを除去する機構を備えており、処理能力は、25kg/h以上(設計値)である。 次に、FRP粉体を固化するバインダーの選定を行うため、ペットボトル、家電製品等のプラスチック、糊、メチルセルロース、農業用ポリエチレンシート(農ポリ)等について調査・実験を行い、バインダーの第一候補として農業用ポリエチレンシートを選定した。農ポリは、毎年大量に廃棄物として排出されていることが判明し、有力なバインダーとなり得ることが分かった。農ポリの成分分析、発熱量の計測を行い、セメント焼成が可能な条件であるか検討した。未使用の農ポリの塩素濃度は、200ppm以下であり、使用済みの農ポリの塩素濃度が高いのは、土壌や農薬などの不純物の影響と考えられる。また、発熱量は、ほとんどの測定値で6,000kcal/kg以上あり、セメント焼成に十分な発熱量を有していることを確認した。 最後に、試験的に、選定したバインダーの農ポリを用いてFRP粉体を固化し、粉砕後に約8mmのスクリーン目を通してペレット状のリサイクル品を試作した。製品の形状の保持性を確認し、成分分析等を行いセメント焼成条件と比較した。その結果、農ポリは、バインダーとしての条件を全て満足することが確認できた。
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