研究課題/領域番号 |
18206093
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 文良 東北大学, 多元部物質科学研究所, 教授 (10007198)
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研究分担者 |
加納 純也 東北大学, 多元部・物質科学研究所, 講師 (40271978)
張 其武 東北大学, 多元部・物質科学研究所, 助教 (30292270)
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キーワード | メカノケミカル / 廃棄物 / バイオマス / 水素エネルギー |
研究概要 |
本研究では、塩ビ廃棄物に無機物を添加して粉砕処理した産物を低温加熱することによって高純度な水素を発生させる新しいエネルギー回収法を開発する内容である。平成18年度では、水素発生量とその純度に関して、粉砕や添加物種類とその量などの実験条件との関連性が明らかにした。 これを受け、平成19年度の研究は、まず、添加物に触媒を混入し、その働きについて検討した。触媒としてニッケル、鉄、コバルト、銅などの遷移金属、あるいはそれらの酸化物や水酸化物を選択した。その結果、水酸化ニッケルが高純度水素発生に最も効果的であることが判明した(特許取得)。その反応機構は、水酸化ニッケルは加熱工程で発生した水素によって還元され、金属触媒として作用したためと判断した。ただ、金属ニッケル添加の場合より水酸化物が良い結果になった理由は完全にはわからないが、水酸化物の場合、粉砕過程で分散性が良好になることが要因ではないかと推論している。この水酸化物の分散効果をさらに高めるため、水酸化ニッケルがその他の水酸化物(水酸化マグネシウム、アルミニウム)に分散した状態になっている物質、すなわちNi含有層状複合水酸化物(Layered Double Hydroxides, LDH)を添加物とする実験も実施した結果、水素ガス発生が良好になり、効果を確認した。 一方、本プロセスの実用性を確実にするため、塩ビ以外のプラスチック樹脂廃棄物の適用可能性を探った。その結果、同様の効果が得られ、混合状態のプラスチック樹脂廃棄物も水素発生原料になりうることを明確にした。さらに再生可能な資源としてセルロー含有試料や紙、木片にも適用した結果、その効果を確認した(特許取得)。
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