研究課題
本研究では高速荷電交換分光計測に基づきイオンの内部輸送障壁の発展過程とプラズマ周辺部に摂動が与えられた時に起きるプラズマの非局所輸送現象の研究を行った。今年度は特に以下の3点のテーマにいついて実験を行った。1)イオンの内部輸送障壁の発展過程の研究:イオンの内部輸送障壁の形成過程において、イオン温度勾配が強い領域(ITB領域)がどのように伝搬、拡大又は局在化していくかを調べ、トカマクプラズマではITB領域が外側に伝搬するのに対し、ヘリカルプラズマでは内側に伝搬していくのが解った。2)イオンの非局所輸送の研究:TESPEL入射に伴いプラズマ周辺部が冷やされると中心部イオン温度が上昇、又は低下する非局所輸送現象が観測された。この非局所輸送現象はプラズマの衝突周波数が下がるとより顕著に見られる事が解った。またある衝突周波数領域においては、中心電子温度が上昇、中心イオン温度が低下するという異なった非局所性を示す現象が見つかった。これはイオンと電子の非局所性に違いがある事を示すデータである。3)トロイダル回転の非拡散輸送と非局所輸送の研究:トロイダル回転速度の時間分解が上昇したことに伴い、プラズマの圧力勾配によって生じる自発ロイダル回転(非拡散輸送)と、その非局所輸送について研究ができるようになったので、熱輸送のみならず、運動量輸送の非局所性も調べた。その結果、中心トロイダル回転速度が急速に低下する非局所輸送現象が観測され、熱輸送のみならず、運動量輸送にも非局所性がある事が解った。
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