研究課題/領域番号 |
18206097
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 陽一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50210729)
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研究分担者 |
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (90362631)
近藤 孝文 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教 (50336765)
誉田 義英 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40209333)
法澤 公寛 大阪大学, 産業科学研究所, 特任研究員 (00403006)
小方 厚 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (60023727)
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キーワード | 電子線励起時間分解吸収分光 / パルスラジオリシス / 放射線化学初期過程 / フォトカソードRF電子銃加速器 / ダブルデッカー電子加速器 / サブフェムト秒電子パルス / アト秒電子パルス |
研究概要 |
本年度は、等価速度分光法パルスラジオリシスの評価、量子ビーム誘起初期過程の解明(特にフェムト秒時間領域での高速反応解析)を中心した研究を行った。 (1)フェムト秒パルスラジオリシスの評価: 分析レーザーの温度制御や電子ビーム加速器のRFフィードバック回路の導入、またPLCによる加速器の自動制御によりレーザーと電子ビームの強度安定化、レーザーパルスと電子パルスの同期時間ジッターの低減を行い、従来のパルスラジオリシスでは光吸収測定が困難である厚さ0.5mm以下セルの測定が可能となった。電子パルス幅、分析レーザーパルス幅、同期時間ジッターにより時間分解能は、250フェムト秒までに向上でき、世界最高時間分解能を有するフェムト秒パルスラジオリシスの開発に成功した。 (2)フェムト秒時間領域での量子ビーム誘起初期過程の解明: 開発したフェムト秒パルスラジオリシスを用いて、水中での水和電子生成、イオン液体中での溶媒和電子の生成、アルカン中のジェミネートイオン再結合などの初期過程の解明を行った。パルスラジオリシスでは、世界初めて水和電子の生成過程の観測に成功した。放射線(特に電子線)の照射により水中での水和電子の生成は、完全に水和する前のpre-solvated状態を経由していることと、水和電子の生成時間は540フェムト秒であることが分かった。パルスラジオリシスによる水和電子の生成時間は光イオン化による水和電子の生成時間と同じである。
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