研究課題/領域番号 |
18206098
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前畑 京介 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30190317)
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研究分担者 |
原 一広 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00180993)
有馬 秀彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20253495)
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キーワード | 超伝導相転移端型温度計 / マイクロカロリーメーター / プルトニウムLX線 / 無冷媒希釈冷凍機 |
研究概要 |
【目的】 Pu同位体が放射するLX線を作業員の体外から計測することで、 Pu吸入摂取量を推定し内部被曝線量を評価するためには、Puなどの超ウラン元素のLX線放射率を高い精度で評価する必要がある。そこで、エネルギーが10keVから20keVのLX線光子を半値幅50eV以下のエネルギー分解能で計測できるTES型マイクロカロリーメーターの設計・作製を行うとともに、液体ヘリウムを使わず簡便な操作でTES型マイクロカロリーメーターの高性能動作を可能とする計測システムを構築する。次に、シンクロトロン放射光を利用して10keVから20keVのエネルギー領域における単色光子に対するTES型マイクロカロリーメーターの応答特性を精密に測定する。このようにして構築したTES型マイクロカロリーメーターシステムを用いて、^<241>Am線源やPu同位体から放射されるLX線を半値幅50eV以下のエネルギー分解能で分光分析を行い、超ウラン元素のLX線放射率を高い信頼性で評価できることを実証する。 【平成18年度の実績】 1.TES型マイクロカロリーメーター素子の設計・作製 数keV以下のX線を精度よく計測することが実証されているTi上にAuを積層した2層構造のTES型マイクロカロリーメーターを設計・作製した。設計仕様として、動作温度200mK、エネルギーが10keVから20keVのX線光子について半値幅50eV以下のエネルギー分解能、20keVのX線光子の吸収効率を50%、および毎秒100カウント以上の計数率とした。この条件を満たす吸収体として機能するAu層の厚さは5μmとなった。 2.液体ヘリウム不要冷凍機システムの開発 液体ヘリウム不要型希釈冷凍機本体および循環ガスハンドリングシステムを^3He-^4He希釈冷凍ユニット、 GM小型冷凍機^4Heガス循環ユニットおよび^3Heガス循環ユニットに分離した構造に改造した。この改造により、希釈冷凍ユニットへ伝播するGM冷凍機やガス循環ポンプ等が発生する機械振動を極力抑制することが可能となった。また、 TES型マイクロカロリーメーターの高性能動作のために、100mKに設定された動作温度を数10μK以内の温度変動で保持するための温度制御システムを構築した。
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