研究課題
本年度(最終年度)は、過去3年間の成果を基盤として研究を継続、発展させ、以下のような成果を得た。1)オホーツク海サハリン沖とバイカル湖中央・南湖盆に産する表層ガスハイドレート(GH)の生成環境における主たる差異は、水底深部から水底表層に供給されるガスフラックス量の違いにある。サハリン沖では数多く見られるガスプルーム(GHとして固定されず水中に放出された余剰メタン)が、バイカル湖ではかなり少なく、観察はほんの数例に限定されている。一方、バイカル湖に存在する泥火山が、現在のところサハリン沖では全く観察されていない。これらのことは表層ハイドレートの分布形態と密接に関係しており、サハリン沖ではガスプルーム基部を中心に表層ハイドレートが産するのに対して、バイカル湖のハイドレート分布は複雑で、生成箇所ごとに異なる分布形態をもっている可能性が高い。2)各種の研究室内測定・解析から、GH結晶物性およびガス・水湧出特性について、以下のことが明らかになった。・オホーツク海のGHの包有ガスのほとんどは、バクテリア起源(CO_2還元)のメタンであるが、バイカル湖のGH包有ガスはバクテリア起源(酢酸分解)のメタンと、バクテリア起源もしくは熱分解起源(場所により異なる)のエタンが混合している。但し、バイカル湖のDIC(間隙水溶存無機炭素)解析からは、CO_2還元によるメタンも存在する可能性が指摘されている。・バイカル湖に見られるようなメタン・エタン混合GHの場合、ガス混合比に依存して、結晶構造、ケージ占有率および水和数、解離熱等が変化し、それらが局所的に分布する多相GHファブリックスが形成されている。・多相GHファブリックスの形成には、ガス混合比の時空間変化が必要である。このことは、過去(GH生成時)には、湧昇ガスの混合比が現在とは異なっていたことを示唆する(ガス混合比変動)。
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