発電所の復水器で発生する水蒸気凝縮熱は環境に廃棄されている。この排熱を利用する新型排熱回収システムでは、復水器の冷却熱媒体として圧力が約6MPaで温度が約20℃の液体CO_2を用いる。この復水器は、耐圧性、コンパクト化、高性能化を図るためにマイクロチャンネル型(MCHE)とする。本研究は、このMCHEを開発し、性能を実験的に検証するものであり、今年度は、流路構造の最適化のために、沸騰二相流と凝縮現象の可視化実験を中心に行なった。以下に本年度の成果を示す。 (1)マイクロチャンネル流路の最適化 本MCHEの熱流動形態の特徴は沸騰二相流と凝結という点である。 沸騰二相流に関しては、下面から加熱できるマイクロチャンネル流路伝熱プレート試験体を製作し、最上層のプレートには観測窓を設け、上部から高速ビデオカメラで二相流の流動挙動を観察した。気泡がトレーサとなり、流動状況が良く観察できた。流路内における二相流の流動状況は、単相流での3次元熱流動解析結果と類似していることが確認できた。そこで、単相流解析において好適と判断されたS字型フィンを配置する流路形状において流動状況を観察した。その結果、この流路構造では、二相流圧損の主原因となる渦を生成せず、スムーズで安定に流れる事が確認できた。 凝縮に関しては、下面から冷却できるマイクロ流路伝熱プレート試験体を製作し、最上層のプレートには観察窓を設け、上部から高速ビデオカメラで凝縮伝熱プレート表面における凝縮形態(滴状凝縮の発生・成長、凝縮液の流動)の観察を行なった。観察結果から、水平面に対して傾斜したフィンを凝縮面に加工した流路構造では、多くの凝縮面で滴状凝縮となり、凝縮液の凝縮面への滞留が少なく、スムーズで安定に流れ、多くの凝縮量を確保できる見通しを得た。 (2)マイクロチャンネル熱交換器試験体の設計 前(1)項の沸騰二相流流路と凝縮面で観察した流路構造に基づき、沸騰/凝縮を伴うMCHE試験体の設計を行った。
|