研究課題
1.rDNA特異的転移因子R2,R8の標的特異性に関わるドメインの同定:標的特異的LINEのR2,R8はそれぞれ28SrDNAと18SrDNAの特定の位置に転移する近縁な転移因子である。そこで、両者の相同領域を適宜交換したキメラ型のバキュロコンストラクトを作成し、Sf9細胞に感染・発現させ、その転移部位を詳細に解析した。その結果、N末端領域が標的特異性に主に関わる可能性を見出した。さらにゲルシフトアッセイにより、N末領域の3つのZinc fingerドメインのうち3番目のものが、R2とR8のそれぞれの標的ドメインに結合することを見出した。この結果は、LINEの転移機構の解明に大きなインパクトを与えるとともに、R2からR8への標的特異性の変遷・進化過程にもヒントを与える興味深い発見である。2.TPRT開始時のmRNAの3'UTR領域との相互作用:LINE特有の転移メカニズムであるTPRT(target primed reverse transcription)開始の際には、mRNAの3'UTR領域はLINEの逆転写酵素などと相互作用すると考えられるが、そのメカニズムはほとんど知られていない。そこで、テロメア特異的LINE・SART1を用いてトランス相補性テストなどを用いて解析したところ、SART1のORF1のC末端領域のZinc knuckle構造が自身の3'UTRを認識してRNPに取り込むことが示された。これは従来全く知られていない機構で、LINEの転移機構の中でも特筆すべき成果と思われる。また、カイコ由来のSART1BmとトリボリウムSART1Tcを用いて調べたところ、SART1は3'UTR内部の高次構造を認識していることが示唆された。
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