研究課題/領域番号 |
18207002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 真 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80204494)
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研究分担者 |
曽田 貞滋 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00192625)
酒井 章子 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (30361306)
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
寺内 良平 岩手生物工学研究センター, 遺伝子工学第1研究部, 主席研究員 (50236981)
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キーワード | 絶対送粉共生 / カンコノキ属 / コミカンソウ科 / ホソガ科 / 共進化 / 共種分化 / 開花フェノロジー / 花香 |
研究概要 |
コミカンソウ科のカンコノキ属のさまざまな種を中心に、開花フェノロジー、雌花の形態、植物の系統、送粉様式、胚珠寄生ホソガの送粉/産卵行動、ホソガ類の形態・系統に関するフィールド調査と室内実験を行なった。それぞれの種が特徴的な開花フェノロジーを持っており、それは胚珠の発達パターンやハナホソガの成長パターンとも密接な関係にあることが明らかになりつつある。また、カンコノキ属の3種(カンコノキ、ウラジロカンコ、カキバカンコ、)で、花の袋掛け・人工交配などの操作実験を行ない、それを結実まで追跡することによって、自殖率、送粉効率、重複産卵された胚珠に対する間引きの有無などを調べる調査を行なった。またカンコノキ属およびオオシマコバンノキ属の花の香りの採集と、ガスクロマトグラフィーによる揮発性物質の分離・同定・定量・生物検定を行なった。その結果、ハナホソガは確かに植物の香りによって誘引されていること、花の香りは特に夜に放出されており、種間で顕著な違いが見られることなどが明らかになった。 次にラオスの雨緑樹林および照葉樹林において、さまざまな植物の送粉者群集を調査するとともに、コミカンソウ属数種の花の観察を行ない、それらの一部がホソガによって実際に送粉されていることを明らかにした。 キノコバエ類によって特異的に送粉されるチャルメルソウ属植物について、葉緑体および核のDNAの塩基配列より、系統推定および浸透交雑の解析を行ない、送粉者が介在した種分化と、雑種形成が介在した種分化のパターンを明らかにした。さらにチャルメルソウ属各種の花の香りをガスクロマトグラフィーを使っての分離・同定・定量を行なった。チャルメルソウ属においても、特定の送粉者の特異的誘引に花の香り成分が重要な働きをしていることが明らかになった。
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