高等植物は発芽後の体作りにおいて多くの環境要因(光、水分、重力等)の影響を受ける。この外界の影響の中には他の生物特にバクテリアや菌類の感染が含まれる。これらの生物の感染は植物に病気を引き起こし、植物側に抵抗性の反応を引き起こす。これまでも、病気の発生と植物の体作りの間にクロストークがある事は知られていたが、分子レベルでほとんど判っていない。我々は、シロイヌナズナから1遺伝子の変異により地上部の形態に多大な異常を引き起こす半優性のuni変異株を単離し、その原因遺伝子を決定した。この遺伝子は、耐病性反応における信号伝達の初期過程で重要な機能を持つ新規のCC-NBS-LRRタンパク質をコードしていた。そこで、この遺伝子を中心に植物の体作りと耐病性のクロストークを分子レベルで解明する事を本研究の目的とする。 本研究で、この変異株の表現型は、サルチル酸信号伝達系を介した抵抗性反応の恒常的な活性化、既存の茎頂分裂組織の活性低下、葉脇における過剰な腋芽の形成の大きく3つに分ける事が出来る事を明らかにした。そして、これら3つは遺伝的に分ける事が出来、、腋芽の過剰生産にサイトカイニンの恒常的な蓄積が関与する可能性が示された。今後は、形態異常に関連する信号伝達系を分子遺伝学的、生化学的に明らかにする事で、抵抗性と形態形成のクロストークの実態に迫る。
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