研究課題/領域番号 |
18207005
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
片倉 晴雄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40113542)
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研究分担者 |
青塚 正志 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (40106604)
中野 進 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (70237337)
藤山 直之 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90360958)
加藤 徹 首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 特任研究員 (80374198)
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キーワード | マダラテントウ類 / ハムシ類 / 生態的種分化 / 生殖隔離 / 寄種特異性 / 食草利用 / DNA解析 / 東・東南アジア |
研究概要 |
食草の変換が昆虫の生活史の様々な局面に同時進行的に影響を与え急速な生殖隔離を引き起こすという仮説を、マダラテントウ類とハムシ類を材料として検証するのが本研究の目的である。計画3年目の本年度は、日本及びインドネシナにおいて以下の研究成果を得た。(1)季節消長の異なる食草を利用するルイヨウマダラテントウ集団(ハシリドコロ食、オオバアサガラ食、ハシリドコロ+オオバアサガラ食)の野外調査と飼育実験を実施し、テントウが食草の季節消長等に対して可塑的に反応している可能性を見いだした。(2)アザミ類の種間、集団間、個体間変異がテントウの食草利用に及ぼす役割をエゾアザミテントウ、ヤマトアザミテントウ、ルイヨウマダラテントウとその食草の系を用いて検証した。テントウは一部のアザミ種に対して本来食草とするアザミとは異なった反応を示し、食草の違いに由来する生殖隔離の強さが食草の組み合わせによって異なることが示唆された。また、アザミの系統関係とテントウが摂食するかどうかを網羅的に調査し、この両者には相関関係が認められないことを明らかにした。(3)キクビアオハムシに見られるサルナシ、オオバアサガラを利用する集団が発端的なホストレースであること、その分化が異なった地域で複数回生じているらしいことを明らかにした。また、前年度に引き続き(4)アザミ食テントウを材料として複数の植物に対する適合の度合いの相関を量的遺伝学的手法で解析する研究、(5)インドネシアにおける、ナス科食からマメ科食へと食性を広げつつあるニジュウヤホシテントウと、シソ科とキク科を利用するホストレースを進化させているHenosepilachna diekeiの生殖隔離の解明と食性の量的遺伝学的解析等を継続した。さらに、研究打合わせと資料整理のために、インドネシア側共同研究者1名を2週間招聘した。
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