研究課題/領域番号 |
18207009
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
正井 久雄 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (40229349)
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研究分担者 |
吉沢 直子 (須賀田 直子) (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (30344071)
高井 裕子 (ZHIYING You) (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主席研究員 (90332270)
松本 清治 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40190532)
森山 賢治 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00250217)
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キーワード | 細胞周期 / DNA複製 / 複製起点 / 複製タイミング / DNAヘリカーゼ / Cdc7キナーゼ / チェックポイント制御 / MCMタンパク質 |
研究概要 |
真核細胞の染色体複製は、時間的、空間的に厳密に制御されている。この複製プログラムは、発生分化あるいは細胞型によっても制御される。サイトカインクラスター領域を標的として、3500kbの領域にわたって複製タイミングの解析JurktatとHL60の2種類の細胞で行った。その結果、サイトカインクラスター領域は両細胞で初期複製領域であった。サイトカイン領域の外側にタイミングの転換領域を同定した。転換領域近傍にはライン配列が高頻度で存在し、syntenyの分断領域に隣接していた。MAR配列も高頻度で存在した。両細胞の転換領域は250kbほどずれており、細胞型特異的なタイミング転換領域の存在があきらかになった。一方、aphydicolin存在下での初期複製開始領域のゲノムワイドの解析から、初期複製開始点のクラスターを同定した。初期複製開始領域は遺伝子が密に存在しさらにそれらが発現されている領域と重なっており、複製起点は遣伝子間領域に限定して存在することが明らかになった。現在、通常のS期の初期の活性化される複製起点、および後期複製開始領域のゲノムワイドでの同定をすすめている。Cdc7は、酵母からヒトまで保存されたキナーゼで、DNA複製の開始を制御すると考えられている。Cdc7は上記で同定された初期複製開始点にS期開始にさきだって結合することをChIPアッセイによって示した。複製開始の重要な標的はMCMであり、MCM2,4,6タンパク質のN末端をCdkと共同してリン酸化することにより複製複合体の成熟を促進することを明らかにした。MCM4-6-7からなるDNAヘリカーゼの活性は、そのクロマチンへのloadingに必要とされるCdt1タンパク質の結合により促進されることを示した。Cdc7は複製停止シグナルによるチェックポイントキナーゼの活性化に必要とされ、Claspinをリン酸化すことによりそのクロマチン結合を促進する。Cdc7の欠損は、複製フォークの不安定化を誘導し、DNA損傷の蓄積にいたる。分裂酵母のCdc7ホモログであるhsk1の変異による増殖阻害は、mrc1/Claspin遺伝子の欠損により相補された。これはMrc1/Claspinタンパクが、何らかの機構で複製開始あるいは安定した複製フォークの形成を阻害しており,Cdc7によるリン酸化がこれを解除することを強く示唆する。
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