研究課題
真核細胞の染色体複製は、時間的、空間的に厳密に制御されている。この複製プログラムは、発生分化あるいは細胞型によっても制御される。サイトカインクラスター領域の近傍に存在する複製タイミングの転換領域はT細胞と非T細胞で250kbほどずれており、近傍にMAR(核骨格結合領域)配列が多く存在し、T細胞で選択的に発現されるMAR結合タンパク質SATB 1の標的配列が見出された。非T細胞でSATB 1を発現すると、境界領域が、T細胞型に変換されることから、SATB1を介したMAR配列の機能が、複製タイミング境界の設定に関与する可能性が示唆された。Cdc7は酵母からヒトまで保存されたキナーゼで、DNA複製の開始を制御する。Cdc7は複製ストレスによるチェックポイントキナーゼの活性化に必要とされ、Claspinのリン酸化によりそのクロマチン結合を促進する。Cdc7の欠損は、複製フォークの不安定化を誘導し、DNA損傷の蓄積に至る。分裂酵母Cdc7ホモログhsk1の欠損株は、mrc1/Claspin遺伝子の欠損により生育できるようになった。さらに、Mrc1は複製起点に結合し、bubble(二本鎖DNAの開裂)を阻害し、Cdc7によるリン酸化反応によりこの阻害が解除され、複製フォーク形成が誘導される可能性が示唆された。胚性幹細胞においては、CycA,CycB,Cdc6,ASKなどの複製/細胞周期制御因子が著しく増産されているが、これらの因子は細胞周期進行にともないそのレベルが増減しており、プロテアソームによる標的タンパクの細胞周期依存的分解は未分化ES細胞でもおこっていることを、細胞周期インディケーターFucciを利用して初めて証明した。これらの因子のES細胞での高発現に貢献する因子としてEmi1(APCの阻害因子)を同定した。
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