研究概要 |
膜超分子である細菌べん毛は、イオン流入のエネルギーを動力源として、らせん形のべん毛繊維を高速で回転させる、生物界において唯一の回転運動器官である。しかも、その回転速度は、毎秒1700回転にも達し、超遠心機をはるかに上回る。この超小型な高速マシンは、一方では、細菌の細胞の中では最大かつ複雑なタンパク質装置でもある。細菌べん毛モーターは,電気モーターと同じく、回転子とそのまわりに複数個ある固定子から構成されており,それら固定子と回転子の間で回転力が発生していると考えられている。しかし、回転子と固定子内のどの蛋白質が回転力を作っているかは、推定はされているが、決定的な証拠はない。また、べん毛は、極に生えるものや菌体の周囲に生えるものなどがあり、細胞の特定の位置や数を制御する仕組みを備えている。本研究では、べん毛の構造研究に重点をおき、その形態形成の解析も含め、回転機構を明らかにする。
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