研究課題/領域番号 |
18207013
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
堀内 嵩 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 教授 (60108644)
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研究分担者 |
定塚 勝樹 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助教 (40291893)
渡邊 孝明 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 助教 (20421365)
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キーワード | 遺伝子増幅 / リボソームRNA遺伝子 / がん遺伝子 / ダブルローリングサークル複製(DRCR) / Cre-lox / コンデンシン / 遺伝子進化 |
研究概要 |
本研究の具体的目標は、微生物(大腸菌と出芽酵母)における(i)遺伝子増幅の分子機構、(ii)増幅後のリピート構造の維持機構、(iii)遺伝子進化における遺伝子変化の役割、の解明にある。遺伝子増幅には主に2種類あり、リボゾームRNA遺伝子(rDNA)とがん遺伝子である。どちらの機構も不明であったが、前者については我々の研究室が既に基本的にほぼ解明したと言ってよい。後者については、これまで(i)我々はCre-loxを用いた酵母モデル系を構築し、ダブルローリングサークル複製(DRCR)により高速増幅が可能なことを見出した。20年度はCre-lox系に依らず、相同組換えによるDRCR誘導で増幅が達成できることを確かめた。これにより、ガン遺伝子タイプの増幅は、DRCRによることが強く示唆された。現在、動物細胞を用いても、相同組換えによるガン遺伝子増幅を検証している。(ii)従来、我々はrDNAのリピート構造の維持には、染色体の凝縮と分配に必要なコンデンシンが必須であり、その為にはコンデンシンのrDNAの複製阻害部位(RFB)への結合が必要なことを見出していた。本年度、この結合には3種類の遺伝子産物が必要であることを明らかにし、コンデンシンの染色体へのリクルート系を始めて解明した最初の例となった。(iii)大腸菌を用いて、本来資化不能なキシリトールを資化可能な能力を獲得できるマイクロ進化の系を確立した。この系により分離した、複数の進化株の解析から、遺伝子増幅、塩基置換、ISの挿入によってミクロ進化が可能であることを見出したが、本年度は、大腸菌株(C株とK12株)によって、それらの変化に偏りがあり、例えばIS挿入の多いK12では、一つの培地中で、同時並行的な独立のISの挿入により、その挿入株同士間での競争が起こり、生育の早いクローンが優勢になるダイナミズムが働くことが明らかとなった。
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