研究概要 |
1.酸素摂取機能の全身的協関 運動開始時における肺レベルの酸素摂取動態が、運動筋微小循環レベルの酸素供給と利用(VO_2/Q)のミスマッチに依存するのかを検討した。運動開始直後の約10秒間では、大腿筋のVO_2/Qに時間的・空間的な不均一性が認められた。初期成分に続いて指数関数的に増加する急成分においても、立ち上がりに部位差が見られた。そのメカニズムとしては、部位ごとの還流圧と筋線維動員パターンの違いが、微小循環血流のフィードバック再配分調節と筋肉細胞の酸素消費をそれぞれ不均一にした結果と考えられる。 2.循環機能の全身的協関 運動開始に伴う中心循環血液配分機構を検討するために,非活動筋の代表的部位である腹部内臓領域への配分として上腸間膜動脈、脾動脈、腎動脈の血流応答を,8名の被験者で40W自転車運動時に検討した。その結果,運動開始に伴う血管収縮と血流減少の程度には地域性が存在することがわかった。加えて、運動時の筋交感神経活動も連続的に計測した。 3.体温調節機能の全身的協関 環境温の急激な変化やサイン状の変化に伴うヒトの熱放散反応の動的特性を検討するために,新しい環境試験室を構築した。そして各温度負荷の間に体温調節系パラメータとして、食道温、皮膚温、前額・胸・前腕・大腿の発汗量と皮膚血流量、また、循環調節系パラメータとして、心拍数、血圧および一回拍出量を測定した。さらに、熱、放散反応の動的特性を評価する方法を検討した。
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