ダイアンソウイルスRed clover necrotic mosaic virus (RCNMV)のRNAサイレンシング抑制及びRNA複製に関わる宿主因子とウイルス因子を同定するために、エピトープタグ付加p27とp88およびRNA2を用い、アグロバクテリウムーベンタミアーナ植物系とin vitroBYL複製翻訳系において免疫沈降による宿主因子探索を継続して行ってきた。タンパク質のMALDI-TOF質量分析の結果、BYL系においても先に宿主タンパク質の候補として同定されたHSP70が同定された。そこでHSP70が実際にRCNMV感染に関係するかどうかを調べるため、まず、Nicotina benthamianaから既報配列を用いたRT-PCRでHSP70オルソローグ遺伝子を得た。本HSP70をN. benthamianaで一過的に発現させるとRCNMVの複製が促進された。このことはHSP70がRCNMV感染に関わっていることを示唆している。ウイルスタンパク質の相互作用研究では、p27とp27同士に加え、p27とp88がそれぞれ相互作用することを免疫沈降で明らかにした。 エピトープタグ付加p27とp88および野生型RNA2を発現する形質転換アラビドプシスを作成し、同様の実験を行ったが、解析に必要な十分量のタンパク質をえることが困難であった。ベクター及び実験条件のさらなる改良を現在行っている。 一方、p27とp88のRCNMVゲノムRNA複製における機能解析研究では、p88はRNA1の複製においてはシスにのみ機能することを明らかにした。すなわち、p88はp27と同様、RNA2の複製にはトランスに効率よく作用するが、RNA1の複製ではp88は自らが翻訳されてきたRNA1にしか機能しないことを証明した。
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