研究概要 |
アルツハイマ-病(AD)は,発症メカニズムの解明ならびに根本的な治療薬の開発が強く望まれている難治性疾患の一つである.42残基のアミロイドβタンパク(Aβ42)が,高い凝集性とともに神経細胞毒性を示すことから,ADの原因物質と考えられている-本研究代表者らは最近,Aβ42のアミノ酸残基を一残基ずつ網羅的にプロリンで置換した変異体の凝集能ならびに神経細胞毒性を調べることによって,22,23番目及び38,39番目にタ-ン構造を有する「毒性コンポメ-ション」の存在を示唆するとともに,Tyr-10及びMet-35が共働した新しい神経細胞毒性発現機構を提唱した.本研究の目的は (1) Aβ42の凝集体に含まれる毒性コンホマ-の立体構造を,固体NMR(核磁気共鳴法)及びESR(電子スピン共鳴法)により決定するとともに,上記の神経細胞毒性発現機構を検証すること, (2) Aβ42の毒性コンホマ-を特異的に認識するモノクロ-ナル抗体を開発すること, (3) Aβ42の凝集を阻害する低分子有機化合物を天然に広く探索し,その凝集阻害機構を明らかにすることである.
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