研究課題/領域番号 |
18208013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
富樫 一巳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30237060)
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研究分担者 |
練 春蘭 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (40376695)
坂上 大翼 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90313080)
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キーワード | マツノザイセンチュウ / ニセマツノザイセンチュウ / 材線虫病 / エゾマツ / 媒介昆虫 / 伝染病 / 侵入生物 / トドマツ |
研究概要 |
マツノザイセンチュウとニセマツノザイセンチュウの雑種のうち、クロマツに病原性を示す雑種線虫1系統とその親線虫個体群を用いて、アカマツ材からマツノマダラカミキリ成虫への乗り移り能力を実験的に調べた。その結果、昆虫の平均保持線虫数(±SE)は雑種線虫の場合1126±480であり、マツノザイセンチュウの990±486と有意差はなく、ニセマツノザイセンチュウの390±35より有意に大きかった。このため、雑種線虫の一部はマツ林で存続可能であると判断された。飼育によってシラフヨツボシヒゲナガカミキリ幼虫は少なくとも5齢を経て蛹になることが示されたが、3齢以後は頭幅が重なり合って齢査定は難しいことが分かった。また、北海道の針広混交林内の隣接する二つの帯状皆伐地(30mX400m)を使ってシラフヨツボシヒゲナガカミキリ成虫の分散を調べたところ、50m以内の短距離分散と平均250mの長距離分散を行うことが示され、皆伐地間の林は分散に影響しなかった。 クロマツに病原性の異なるマツノザイセンチュウのアイソレイトを単独または二つ混合して接種した。マイクロサテライト遺伝子座を用いた解析によって、混合接種の場合アイソレイト固有の遺伝子以外の遺伝子が得られ、染色体の交差による遺伝子の生成が示された。 小さな6クワ圃場でのキボシカミキリ成虫の発生期間には0日から197日までの変異があり、発生期間は圃場内の寄主木数と相関がなかったが、のべ捕獲数とは密接な関係を示した。すなわち、のべ捕獲数が0から18頭に増加するにつれて発生期間は急激に増加したが、18頭以上では安定した。のべ捕獲数と再捕獲の確率には正の相関があり、発生数が少ないと成虫は定着しないことが示された。
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