研究課題
リグニン形成の制御機構を前駆物質の貯蔵と輸送という動的な観点から捉え、モノリグノールの貯蔵と供給機構に着目し、細胞レベルで解明することを目的とする。安定同位体トレーサー法によるリグニン生合成中間物質の選択的な標識と飛行時間型二次イオン顕微質量分析(ToF-SIMS)による分子マッピングを組み合わせて、分子レベルの情報と組織レベルの情報を同時に入手することにより解析する。得られた結果を総合的に解析し、時空間的に制御された細胞壁の木質化機構、細胞壁内のセルロース間隙でのリグニン重合機構を明らかにする。初年度は、樹木におけるリグニン生合成代謝中間物質の解析手法を確立するため、特定の位置を重水素や13Cで標識したコニフェリルアルコール、あるいはそれらの配糖体を合成し、飛行時間型2次イオン質量分析、高速液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)に供した。その結果、モノリグノール配糖体である、コニフェリン、シリンギン、p-グルコクマリルアルコールは、ToF-SIMS分析において特徴的な2次イオンを与えることがわかった。このことから、組織内での分布を可視化できることが判明した。また、これらの配糖体はLC/MS分析においても特徴的なイオンピークを与えたことから、コニフェリルアルコールなどのモノリグノールと同時に定量分析することが示唆された。このことにより、樹木新生木部におけるリグニン前駆物質を未処理かつ微量で網羅的分析することが可能となった。
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