研究概要 |
平成19年度に予定した計画はほぼ順調に進み,最終目的であるウナギの人工種苗生産技術の開発に向けて,研究は大きく進展した。本研究の三つの小課題について得られた具体的成果は以下の通りである。 (1)成熟過程(1)前年度同様,浜名湖と三河湾で採集した下りウナギについて,降海行動に伴うステロイドホルモン(E2,T,11-KT)および,T4,GTH,GnRHなど各種ホルモンの動態を明らかにした。(2)ホルモンを投与しないで親ウナギの催熟を行う技術を開発するため,ステロイドホルモン(E2)処理によってメス化した養成ウナギに毎日5-15℃の変動水温を与えたところ,3ケ月後にはGSIが4%前後にまで進み,本技術の開発研究が大きく進んだ。 (2)産卵過程(1)2007年8月および9月のウナギ産卵場踏査航海でウナギ卵,親魚は採集されなかったが,ニホンウナギのプレレプトセファルス37尾が採集された。これにより2005年航海で得られたスルガ海山産卵説の再現性が確認できた。(2)人工産卵法についても進展があり,卵,精液の搾出による人工受精法より,雌雄のペアリングによる自発産卵法の方が受精率が高く,奇形率が低いことがわかり,自発産卵法が大量種苗生産に適しているものと考えられた。 (3)発育過程(1)レプトセファルスの飼育に適した回転水流をもつ縦型円形水槽"レプトタング"を作成した。タンクの洗浄およびタンク内での給餌を自動化して,省力化を図った。これにより従来の生産コストを約1/10にすることができた。(2)低照度下で摂餌するか否かを検討したところ,暗黒下でもウナギ仔魚の摂食行動が起きることが確認された。
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